仮面ライダービルドになりたいのだ
先日、4歳になった息子アキの夢は、レスキュー隊になることである。
※パジャマで失礼。
アキの将来は忙しい。
レスキューをしながら、
キューレンジャーのシシレッドになるらしい。
ウルトラマンジードにもなるらしい。
最近の一番のお気に入りは、仮面ライダービルド、もちろん、ビルドにもなるらしい。
どちらにしても、誰かを助ける仕事がしたいらしい。
そんなアキに朗報が飛び込んだ。
今度の日曜日、
イオンに仮面ライダービルドが来るゾ!
やったな、おい。
朝11時開演なのに、なぜか、9時開場という信じられないスケジュールを3日かけて受け入れる。
ショーに行く覚悟は決まった。
場所取り用のシートをかついで、
アキを実母に任せ、
朝9時のオープンと共に、猛ダッシュ。
周りは体格のいい男たち。
間に混ざって、155㎝猛ダッシュ。
そりゃ、抜かれる抜かれる、
こんちくしょーよ。
我が家の旦那は土日がお仕事なので、そんな旦那を恨みつつ、39歳一児の母がゼーハーゼーハー、トーマスのシートをかついで走りまくる。
…息も絶え絶えに、開演場所に着くと、最前列はすでに他のお父さんたちに抑えられていた。
くっそ。
50メートル10秒以上かかる私の足で、
それでも、二列目ど真ん中を死守!
やったよ、アキ!
そこから2時間待ち続け、仮面ライダービルドのショーが始まった。
目の前で、ビルドが敵と戦う。
場所取りで一日が終わった気の私は、眠気と戦う。
…と、なんと、ショーの途中で仮面ライダーが敵にやられてしまった!
よくある展開だが、我が家のピュアなアキにはどうやら刺激が強かった。
目の前で敵が仮面ライダーに勝とうとしているらしい。
これは、まずいぞ!
怖いぞ!
突然立ち上がって、入口を指差し、
「帰る!」
と、叫び始めた。
…マジか。
いやいや、あと五分で、おそらく逆転して終わるであろうショーのあと、このあとが大事な記念撮影なのに!
ビルドと写真撮らんで、何しに来たんじゃー!
今出て行かせるわけにはいかん!
私は心を鬼にして、目一杯優しい声でアキを諭しにかかった。
アキくん、大丈夫だよ、ほらもうすぐ仮面ライダー勝つと思うよ、
と、まずはネタをバラすという最悪な手段に打って出る。
それでも落ち着かないアキに、
このあとね、ショーが終わったらね、ビルドと写真撮れるんだよ、と、
ショーを本物と信じているアキに、あくまでお芝居だから、というニュアンスの大人なセリフを吐き出す。
当然アキは受け入れるはずもなく、帰る!帰る!と暴れ始める。
場所は二列目ど真ん中。
やっべー。
もうダメか…
朝の疲れから粘る気力のサラサラない私が諦めかけた時、
司会のお姉さんが叫んだ!
「みんな!ビルドはね、みんなの応援が力になるんだよ!みんなで応援しよう!ビルド、頑張れー!」
なーんと、ナイスタイミング!
私はすかさず、お姉さんに乗っかった。
アキ!がんばれってアキが言ったらね、ビルド頑張って敵をやっつけちゃうって!お姉さんが言ってるよ!
涙目のアキはその言葉を信じ、くるりとビルドの方を見て座り直し、頬を赤くして叫んだ!
「がんばれぇぇ。ビルドがんばれぇぇ。」
…無事、記念撮影を終え、
帰路に着く頃には、私は疲れから頭痛に苦しめられていた。
数日後、
色々あって、なんと、ビルドのベルトと、クローザーの武器を買うことになるのだけど、
それはまた次回…。