見立ての天才
ある日、アキが、BRIOのジェットコースターの部品を二つ持って来て言った。
「ママ〜ここテープ貼るの手伝ってー。」
何の気なしに、テープで止めるのを手伝って、しばらく家事をしていた。
出来上がったのがコチラ。
「ママ〜見てぇ。」
再びアキに呼ばれ、見ると、
これまた、BRIOのジェットコースターの部品の中の、長いグレーの支柱を、
先ほど、テープで止めた小さな支柱の間に、
こんな風に挟んで、
長い支柱を抜きながら、
「ホウオウソルジャー‼︎(戦隊モノの戦士の名前)」
と、声高に叫んだ。
私の視線を気にしまくって、
誇らしげなドヤ顔で、
おそらく、
剣に見立てたのであろう、ジェットコースターの支柱を、高く振りかざしている。
出来る限りの賛辞を浴びせ、アキを満足させたあと、私は一人、茶碗を洗いながら、心の中で葛藤していた。
…アキは見立ての天才やね、
いやいや、マジでビンボーやろ、
せつねーやろ。
ホウオウソルジャーの剣、Amazonで3,000円代で売ってたけど。
いやいや、買ってたら、こんな見立ては拝めんかったんじゃない?
いやいやいや、見てよ、ほら。
アキ、ジェットコースターの支柱を洋服の背中に入れちゃったよ。背中から、剣(に見立てた支柱)を取り出して、ポーズ決めちゃってるよ。
…それから、毎日、
長い支柱を背中に挿して、カッコつけて歩くアキを見るたびに、
私はこの葛藤に悩まされ続けている。